鳥を見ると急に胸が苦しくなる、鳥の羽根や鳴き声が怖くて公園にも行けない──そんな経験はありませんか?
世の中には「鳥恐怖症」という、鳥に対して強い恐怖や嫌悪を感じる心的障害があります。
本記事では、その症状や原因、治療法、そして日常でできるセルフケアまでをわかりやすく解説。鳥との距離に悩む方や、周囲に苦しむ人がいる方にとって、支えや理解の一助となれば幸いです。
1. 鳥恐怖症とは?
**鳥恐怖症(Ornithophobia、オルニトフォビア)**は、「不合理で異常な鳥への恐怖や嫌悪感」を指す特定恐怖症のひとつです。
「鳥が飛んできて襲ってくるのではないか」「羽根の感触が受け付けない」など、対象はカラス・ハト・ニワトリなど種類を問わず、人によって異なります。恐怖の程度によっては、鳥がいる場所を避けるために生活範囲が制限される例もあります。
症状としては、鳥を目にした瞬間に動悸や発汗、息苦しさ、パニック発作などを引き起こすことがあります。これらが繰り返されると、生活の質が著しく低下する可能性があります。
2. 原因と心理背景
鳥恐怖症の原因は、個人によって異なる場合がありますが、一般的には以下の要因が考えられます。まず、トラウマが鳥恐怖症の原因となることがあります。
例えば、過去に鳥に襲われた経験や、鳥による攻撃を目撃した経験がある場合、そのトラウマが鳥恐怖症を引き起こす可能性があります。
また、遺伝的要因も鳥恐怖症の発症に関与していると考えられています。家族の中に鳥恐怖症の人がいる場合、その遺伝的な要因が関与している可能性があります。
さらに、他の不安障害との関連も考えられます。鳥恐怖症の人々は、他の不安障害(例えば、社交不安障害や特定の動物への恐怖症)を抱えていることが多いです。
2‑1.トラウマ体験
子どもの頃に鳥に追いかけられた、急に飛び出して驚いた経験など、不快な記憶がトラウマとなり恐怖症化するケースが多く見られます。
2‑2.映像・文化による影響
ヒッチコックの映画『鳥』(1963年公開)などの影響で、集団で襲う鳥のイメージが強く刷り込まれ、恐怖を抱く人が多いともいわれます。
また、神話や伝承でカラスなどが不吉とされる文化背景も、イメージ形成に影響します。心理学・スピリチュアル研究所
2‑3.認知のゆがみ・誤認識
「鳥=不潔・危険」という誤った認知や思い込みが、恐怖を増幅させる要因となります。都市部のニュースで鳥インフルエンザが報道されると、それが補強されてしまうこともあります。
2‑4.遺伝や家族歴
家族に似た恐怖症をもつ人がいる場合、遺伝的・環境的な要因で発症しやすくなる可能性もあります。鳥恐怖症に限らず、恐怖症全般で先行する家族歴の影響が指摘されています。メンタルヘルス事典オンライン+5心理学・スピリチュアル研究所+5phobia-li.work+5
3. どんな症状があるのか?
恐怖の種類や強度は人それぞれですが、主な症状は以下のように分類できます。
3‑1.身体的症状
- 心拍数の増加
- 汗をかく、手が冷たくなる
- 呼吸が乱れる、息苦しさ
- 顔が赤くなる、震えが出る
3‑2.精神・心理的症状
- 恐怖・不安感の急上昇
- 「鳥が襲ってくる」との妄想に近い思考
- 恐怖を避けるため、予め鳥のいそうな場所を回避
3‑3.行動的症状
- 公園、バードウォッチング、フェスなど鳥がいる場所を避ける
- 動物園の鳥コーナーにも近寄れない
- 鳥グッズや写真でさえ不快感を感じることもある
4. 鳥恐怖症は治る?— 治療法の選択
恐怖症は、適切な対処を行えば改善が見込まれます。以下は主要な治療法です。
4‑1.認知行動療法(CBT)
認知行動療法は、恐怖感を引き起こす思考パターンを変えることを重視しています。鳥に対する恐怖感を引き起こす具体的な思考を特定し、それを払拭するための新しい思考パターンを身につけることが目標です。
例えば、「鳥は危険だという思考を「鳥は自然の一部であり、私には害を与えることはないという思考に変えることができます。このような思考の変換を繰り返すことで、鳥に対する恐怖感を軽減させることができます。
鳥への恐怖を引き起こす思考やイメージに対して、理性で向き合い再構成する治療法です。専門家の助けを受けながら、安全な環境で段階的な「曝露」を組み込むことで、恐怖感を軽減させます。メンタルヘルスガイド
4‑2.曝露療法(エクスポージャー)
曝露療法は、徐々に鳥に接する機会を増やして恐怖感を軽減させる方法です。最初は写真や映像から始めて、次に鳥の鳴き声を聞くことから始めます。徐々に実際の鳥との接触を増やしていきます。最初は短時間で、安全な環境下で行うことが重要です。徐々に時間を延ばし、鳥との距離を縮めていくことで、恐怖感を軽減させることができます。
恐怖対象に段階的に接近し、恐怖が「徐々に和らぐ」という学習を促します。最初は写真や映像、次に距離を取った実物への接触──と、段階を踏んで慣れさせていくアプローチです。
4‑3.薬物療法
重症の場合、SSRIやSNRIなどの抗不安・抗うつ薬が補助的に用いられることがありますが、薬だけで恐怖症を完治させるのは難しいです。
4‑4.サポートグループや心理カウンセリング
同じ悩みを持つ人々との共有や対話、専門家からのサポートは、安心感や気づきを得るうえで有効です。オンラインや対面で構築できる場を活用しましょう。メンタルヘルス事典オンライン
5. 日常でできるセルフケア
自分でも取り組める対処法をいくつかご紹介します。
5‑1.深呼吸・リラクゼーション
恐怖を感じたら、ゆっくり深呼吸を行う。息を数秒吸って止め、ゆっくり吐く──これを数分続けるだけでも落ち着きます。
5‑2.マインドフルネス瞑想
「今、この瞬間」に意識を集中させ、鳥への恐怖とは関係ない感覚に目を向ける練習です。恐怖が心を占めても、“ただある” と認めることで鎮まっていきます。
5‑3.知識を深める
恐怖の対象を知ることで、誤ったイメージを正すことができます。鳥の生態、安全性、行動を学ぶことで、「鳥は襲わない」などの再認識につながります。こころの探検
5‑4.少しの「好奇心」を持つ
鳥の行動を観察し、その知性や美しさに目を向けてみる。好奇心を鳥の怖さ以上に強くすることで、感情のバランスが変わっていきます。
5‑5.鳥と“安全に”接する経験をつくる
鳥をペットとして飼うのは負担が大きいため、まずは知人の鳥と触れ合う、動物園で距離を取りながら観察するといった実践から慣れていくのがおすすめです。
6. 鳥恐怖症に関するQ&A
Q1.鳥恐怖症は完治する?
A.個人差はありますが、認知行動療法+曝露療法+セルフケアの併用で、症状の軽減や克服は十分可能です。根気よさが鍵です。メンタルヘルスガイド+1メンタルヘルス事典オンライン+1
Q2.予防や早期対処はできる?
A.幼少期から鳥と適度に触れ合い、「鳥=安全」という学習を促す環境づくりが有効。スクールや保育園でのプログラムにも応用できるでしょう。
Q3.遺伝はある?
A.恐怖症には環境因子や家族歴が関係する場合があります。つまり、遺伝だけでなく、家族間の経験共有が影響します。心理学・スピリチュアル研究所
7. まとめ
- 鳥恐怖症は、鳥に対する「不合理な強い恐怖」で、生活に支障が出ることもある
- 原因はトラウマ・映像・誤認知・家族歴など多岐にわたる
- 認知行動療法や曝露療法、薬物療法やサポートグループの活用が改善に効果的
- 自分でできる対処法(深呼吸、マインドフルネス、知識の習得、観察)も併用しよう
参考サイト
以下はさらに詳しく学べるサイトです。(本文中には引用していません)
- 鳥恐怖症とは?その原因と克服方法について – メンタルヘルス事典オンライン
https://kokolo.work/what-is-ornithophobia-its-causes-and-methods-of-overcoming/ - 鳥への恐怖症の原因と治療 – 恐怖症ガイドブック
https://phobia-li.work/archives/8019 - 鳥恐怖症とは?原因や症状、克服方法について – メンタルヘルスガイド
https://mentalcare.fun/phobias/what-is-ornithophobia-causes-symptoms-and-ways-to-overcome/ - 鳥恐怖症を自分の力で克服する3つの方法 – こころの探検
https://kokoronotanken.jp/torikyoufushou-jibunno-chikarade-kokufukusuru-3tsuno-houhou/ - 『鳩恐怖症』ってどんなもの?克服するための暴露療法 – 生活110番
https://www.seikatsu110.jp/library/animal/am_pigeon/52300/
鳥恐怖症を抱えている方にとって、この記事が一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。ぜひ自分に合った方法を選び、焦らず、支えながら前に進んでいきましょう。


