パーソナリティ障害(人格障害)とは
パーソナリティ障害とは、個人のパーソナリティの特徴や思考パターンや行動パターンに日常生活に支障をきたすほどの偏りがある状態を指します。思考や行動の特性はある程度まで”個性”や”その人らしさ”として受け入れられますが、一般的な許容範囲を超える偏りがあり、人間関係や社会生活において問題を引き起こしがちな状態に至っている方はパーソナリティ障害があると言われています。

無自覚の方も含む全人口の約10%の方が
パーソナリティ障害を持っていると言われています。

10%も該当するのであれば、人間関係のトラブルがよくあるのは
当然と言えば当然ですね。他人ごとではなく私自身も10%の該当者かもしれません。
なお、以前はこの障害を人格障害と呼んでいましたが、差別的だとして現在はパーソナリティ障害と呼ぶようになりました。
パーソナリティ障害は10種類ある
パーソナリティ障害は、10種類の異なるタイプに分類され、それぞれのタイプごとに異なる特徴や症状を持っています。一定の診断基準に基づいて判断されるタイプごとの特徴については次章で解説していきます。
パーソナリティ障害10種類に共通した特徴
パーソナリティ障害の共通の特徴には、不安定な感情、社会的な孤立、自己中心的思考などがあります。これらの特徴がどのような行動パターンに現れるかは、タイプごとに異なる傾向があります。
パーソナリティ障害の種類
以下に、それぞれのタイプとその特徴について説明します。
「変な人」と言われがちな3タイプ

統合失調型パーソナリティ障害
統合失調性パーソナリティ障害の方は、 現実感覚が乏しく、奇妙な信念や幻覚・幻聴があることがあります。このタイプの方は第六感に優れ、迷信を信じる傾向によって周囲から孤立しがちです。
一方で、常識的な考えにとらわれないので、学者、研究者、芸術家として大成される方も多いです。

妄想性(懐疑性)パーソナリティ障害
妄想性パーソナリティ障害の方は、性悪説を確信しているタイプで、他者に対しての強い不信や深い疑いを持ち、他人を信用できないという特徴があります。悪意のない他人の発言にも悪意を結び付けて解釈しがちで、常に警戒心を持っています。善意の他者の誠実さや信頼を不当に疑っていることになりますので、他者からの誠意をないがしろにしてしまうことがあり、他者と信頼関係を気づくことに支障をきたします。
有効な治療法は確立されていませんが、人によっては認知行動療法が効果を発揮する可能性があるとされています。

シゾイド性パーソナリティ障害
シゾイドパーソナリティ障害の方は、孤独を好み、友人や恋人などと親密な関係をつくりたいと思わないのが特徴です。人とのかかわりに喜びを感じないため、対人関係場面での情動表現が乏しく、社会的関係から自ら進んで離脱しがちです。
この症状は自閉スペクトラム症の軽症型と酷似しており、自閉スペクトラム症と区別することが難しいのがジゾイド性パーソナリティ障害です。
シゾイドパーソナリティ障害に有効な治療法は確立されていませんが、認知行動療法よる社会的技能習得が、日常生活での支障を軽減することに役立つのではないかと言われています。

感情が豊かすぎる4タイプ

自己愛性パーソナリティー障害
自己愛性パーソナリティ障害の方は、自分は特別な存在だという意識が根底にあり、自分に対する誇大な空想と現実とのギャップを認識できないという特徴があります。自分の能力や美しさを過大評価するため、他人から称賛を受けて特別扱いされたり、地位の高い人と付き合うのが当然と思いがちです。他者との共感が欠如しているため他人の気持ちをわかろうとすることが難しく、対人関係に支障をきたす場合があります。
治療法としては、自己愛の根底にある葛藤に焦点をあてた精神療法が有効な場合があります。

演技性パーソナリティ障害
演技性パーソナリティ障害の方は、過剰な情動で他人を惹きつけたい欲求が強く、自分が注目されていない状態には苦痛を感じてしまう特徴があります。他人からの承認や注目が自分の存在意義だと認識してしまうため、不適切なほど目立つ服装、過度な露出、挑発的な行動などを通じて注目を集めようとします。その行動によって、周囲の人から距離を置かれがちになってしまいます。
有効な治療法はまだありませんが、心理療法を行いながら症状に合わせて薬物療法をしていきます。

境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害の方は、感情の不安定さが特徴で、衝動的な行動、両極端な行動を取る傾向があります。
特に他人から見捨てられることに対しては過剰に反応し、見捨てられることを避けるために自己傷害や自殺念慮の行動をとる場合もあれば、気分が両極端にぶれて見捨てられたくないはずの相手を徹底的に批判する側に回るなど、正反対の行動に至る場合もあります。怒りの感情を制御することが難しく、かんしゃくを起こしやすい傾向があります。
おもな治療は精神療法で弁証法的行動療法やスキーマ療法などがあります。自傷行為を減らして抑うつを和らげ、日常生活を良好に送ることを目的としています。

反社会性パーソナリティ障害
反社会的パーソナリティ障害の方は、他人への共感性が欠けているため、他人の権利を無視したり、他人を攻撃したりする傾向があります。この思考パターンの偏りが強い方は、法律や社会の規範を守れない人もおり、暴力的な行動や詐欺行為などが見られます。再犯を繰り返す犯罪者は特に反社会性パーソナリティ障害が疑われます。
なお、幼少期から共同生活をしている家族に反社会性パーソナリティ障害の方がいる場合には、その影響を受けて発症リスクが増加するとされています。
このタイプは特定の治療法が効果的であるというエビデンスに乏しく、治療が難しいと言われています。

自責の念が強すぎる3タイプ

回避性パーソナリティ障害
回避性パーソナリティ障害の方は、社会的抑制感、自己に対する不全感・無力感、自分への否定的な評価に対する過剰反応などが特徴で、他人からの批判や非難を恐れて社会的な関係を避ける傾向があります。拒絶されないために自分から人との接触を避け、結果的に孤立することが多いです。
治療には力動的精神療法や認知行動療法などがあげられます。

依存性パーソナリティ障害
依存性パーソナリティ障害の方は他人への依存欲求が強く、面倒を見てもらいたい相手や一緒にいたい相手に対して過剰に従属的な行動を取り、相手と離れることに恐怖感を抱きます。些細な事でも相手に決めてもらい、自分の意見が反対される恐れから自己主張を避け、相手の意見に同調する癖がついてきます。
治療法としては認知行動療法や力動的精神療法が使われる場合があります。

強迫性パーソナリティ障害
強迫性パーソナリティ障害の方は、完璧主義的な傾向があり、細かい規則や秩序にこだわりがちです。また、自己と他者に対して厳しい基準を持っています。強いこだわりが自分だけに向けられるのであればさほど問題にはなりませんが、他者にもこだわりを求めてしまいがちで、その時に人間関係のトラブルが起こることがあります。
また、思考パターンが強く出る方の場合は、自分に過度な基準を設けてしまい、一つの計画を完成させることができなかったり、不要なものを捨てられずにゴミを溜め込む方もいます。
治療法としては力動的精神療法、認知行動療法、薬物療法などが挙げられますが、本人のこだわり(頑固さ)が治療の妨げになる場合もあります。


各タイプの傾向や治療の選択肢についてもっと詳しく知りたい方は、各タイプごとの解説ページを参考にしてみてください。
パーソナリティ障害の治療方法
パーソナリティ障害は、専門家による診断と治療が必要です。よく行われる治療方法は、心理療法をメインとし、それを補完する役割としての薬物療法があります。
心理療法
心理療法は、個人のパーソナリティの特徴や行動パターンを理解し、問題解決や対人関係の改善をサポートすることを目的としています。
認知行動療法(CBT)
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy, CBT)は、パーソナリティ障害の治療に広く使用される心理療法の一つです。このアプローチでは、個人の思考や行動が問題行動につながる可能性があると考え、療法士と患者が共に問題行動や思考パターンを特定し、それらを変えるための具体的な戦略を出します。CBTは、自己肯定感の向上やストレス管理のスキルの習得など、具体的な目標に向けた取り組みをサポートする役割があります。

対人関係療法(IPT)
対人関係療法(Interpersonal Therapy, IPT)は、パーソナリティ障害の治療にも有効とされる心理療法です。このアプローチでは、対人関係の問題や困難を中心に取り組みます。療法士と患者との関係を通じて、対人関係のパターンやコミュニケーションスキルの向上を促します。IPTは、孤立感や不安、対人関係のトラブルなど、パーソナリティ障害に関連する問題に焦点を当てて行われます。
精神分析療法(PT)
精神分析療法(Psychoanalytic Therapy)は、パーソナリティ障害の治療においても使用される心理療法の一つです。このアプローチでは、無意識の心理的な要素や過去の経験が現在の問題行動に影響を与えると考え、療法士と患者との対話を通じて、無意識の要素や過去の経験を探求し、それらを理解することで問題行動の解決を目指します。
薬物療法
薬物療法は、パーソナリティ障害の治療においては主に症状の軽減や合併症の管理のために使用されます。抗不安薬や抗うつ薬などが処方されることがありますが、これらの薬物はパーソナリティ障害自体を治すものではありません。

薬物療法は、心理療法と併用されることが一般的であり、症状の管理や治療の効果を最大化するために使用されます。
治療の過程は時間がかかる場合がありますが、継続的なサポートと努力によって、パーソナリティ障害の症状の軽減や生活の質の向上が期待できます。
パーソナリティ障害との向き合い方
パーソナリティ障害は、個人のパーソナリティに関する持続的なパターンの異常であり、社会的な関係や日常生活に影響を与える状態です。これは一般的に、若年期から成人期にかけて発症し、長期間にわたって続く傾向があります。
パーソナリティ障害と向き合うために大切なことがいくつかあります。
専門家のサポート
まず専門家の支援を受けることが重要です。心理療法や薬物療法など、適切な治療法を見つけることが必要です。
自己認識の向上
また、自己認識を高めることも重要です。自分自身のパーソナリティの特徴や傾向を理解し、それに対する対処方法を学ぶことで、より良い結果を得ることができます。
周囲の人からのサポート
さらに、パーソナリティ障害と向き合うためには、日常生活の中にサポート体制を築くことも重要です。家族や友人、サポートグループなど、理解と支援を提供してくれる人々との関係を構築することで、より良い結果を得ることができます。
パーソナリティ障害に関するよくある質問と回答
パーソナリティ障害に関するよくある質問と回答を以下にまとめました。
Q パーソナリティ障害は遺伝的な要素があるのでしょうか?
A 一部の研究は、パーソナリティ障害には遺伝的な要素が関与している可能性があることを示唆しています。しかし、環境要因も重要な役割を果たすことがあります。
Q パーソナリティ障害は治癒可能なのでしょうか?
A パーソナリティ障害は持続的な状態であり、完全に治癒することは難しいとされています。しかし、適切な治療やサポートを受けることで、症状の管理や改善が可能です。
Q パーソナリティ障害は他の精神障害とどのように関連していますか?
A パーソナリティ障害は他の精神障害としばしば共存しています。たとえば、うつ病や不安障害との関連が見られることがあります。そのため、総合的なアプローチが必要とされます。

自分やパートナーがもしかしたらパーソナリティ障害かも?と思ったら、各タイプごとの解説ページも参考にしてみてください。